「スエードは水に弱く、絶対に水洗いしてはいけない」——長年そう信じられてきたシューケアの定説が、今ガラリと変わりつつある。もちろん、蛇口から水をジャブジャブかけてゴシゴシ擦るような乱暴な洗い方は厳禁だ。しかし、専用のシャンプーや固く絞ったクロスを用いた「適切な水分補給と洗浄」は、毛並みの奥に溜まった頑固な黒ずみや塩ふきを落とすための最強のアプローチとなる。
鍵を握るのは、水分のコントロールと乾燥のプロセス。あえて表面全体を均一に湿らせることで、乾燥後の水シミ(輪ジミ)を防ぎ、固くなった毛羽立ちを解きほぐすことができるのだ。専用のスエードブラシで表面の埃をあらかじめ払い出してから作業に入るのが鉄則。この一手間を惜しまないことで、生地を傷めずに奥の汚れだけを浮かせて落とすことが可能になる。