この特異な健康アイテムの歴史は、1984年にさかのぼる。研究者のジョージ・エビーが、白血病の治療中だった娘にグルコン酸亜鉛の錠剤を舐めさせたところ、偶然にも風邪の症状が劇的に改善したことが全ての始まりだった。
このエピソードをきっかけに、医学文献データベースであるPubMedには亜鉛イオンと気道感染症に関する論文が相次いで発表されるようになった。免疫学の研究者たちは、亜鉛が単に体内に吸収されるだけでなく、口腔や咽頭の粘膜上で遊離した亜鉛イオンとして直接作用し、ウイルスが細胞へ結合するのを阻害する可能性を突き止めたのである。