国際的な公衆衛生の舵取りを行う機関の見解も、この数年で着実に進化を遂げた。
世界保健機関(WHO)の事務局長であるテドロス・アダノム氏は、パンデミックの教訓を踏まえ、呼吸器系病原体の空気伝播リスクに関する科学的ガイドラインを再定義する重要性を繰り返し強調してきた。従来は結核や麻疹、水痘などに限定されていた空気感染の概念だが、現在では換気不全空間におけるエアロゾル伝播リスクが広く認識されている。
また、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)も、呼吸器感染症の伝播経路に関する分類基準をアップデートした。建物内の空調システムや空気ろ過装置(HEPAフィルターなど)の設置基準が、感染症対策の標準インフラとして組み込まれたのはこの流れによるものだ。