この偏りを語る上で欠かせないのが、スポーツ科学や教育社会学の分野で研究が進む「相対年齢効果(Relative Age Effect)」です。日本の学校教育および学童スポーツは4月2日〜翌年4月1日を一区切りとして学年を編成します。この制度下では、同じ学年であっても4月生まれと3月生まれの間にはほぼ丸1年(360日前後)の成長差が生じます。
特に骨格や筋肉の発達が著しい小学生から中学生の時期において、1年間の発育差は圧倒的なフィジカルの優位性をもたらします。身体が大きく足の速い4月・5月生まれの子どもは、以下のようなサイクルに乗ってステップアップしていきます。
幼少期に体格に恵まれた子どもはリトルリーグや少年野球で即座に頭角を現し、投手や4番打者といった中心的なポジションを任されます。結果として「成功体験」を多く積み、強豪校への進学推薦や優秀な指導者からの集中指導、質の高い実戦機会を独占しやすくなります。これがプロ野球選手に4月生まれが多い理由の核心です。
一方で、早生まれの子どもは実質的に1学年上の体格のライバルと競わされることになり、「自分は野球の才能がないのではないか」という心理的挫折から競技を途中で離脱してしまうケースが少なくありません。これが長年議論されているプロ野球選手の早生まれ不利の真相であり、スカウトや選抜システムが抱える構造的なバイアスとなっています。