真夏の甲子園における最大の敵は、相手チームだけではない。40度近い猛暑と、連戦による疲労蓄積だ。肩や肘への負担が大きいオーバースローの本格派が大会終盤に球威を落とす中、横手投げの投手たちは驚異的なタフネスを見せる。
遠心力と体幹の回転を主動力とする横手投げは、下半身の粘りを上手く使えば上体に過度な負荷をかけずに打者を打たせて取ることができる。あるベテランの投手コーチはこう指摘する。「横手投げは一見するとトリッキーだが、実は解剖学的にも体幹の回旋運動に逆らわない理にかなった投げ方。球数を抑え、打たせて取るスタイルを徹底できれば、一人の投手が大会を通じて投げ抜くスタミナを温存できる」。