「朝ごはんのために早起きする」――そんな新しいライフスタイルがすっかり定着した。都心の路地裏にひっそりと暖簾を掲げる隠れ名店では、毎朝7時の開店と同時にカウンターが満席になる。客の視線が注がれるのは、厨房の中央に鎮座する特注の信楽焼土鍋だ。
店主が蓋を開けた瞬間、部屋中に広がる甘い米の香り。ツヤツヤと輝く一粒一粒は、甘みと粘りのバランスが計算し尽くされている。付け合わせには、伊豆から直送されたアジの一夜干し、京都の老舗から仕入れる吟醸豆腐、そして丹念に漬け込まれた自家製の香の物。派手な演出はない。しかし、素材のポテンシャルを極限まで引き出した一品一品が、五感を静かに呼び覚ましていく。知る人ぞ知る穴場として人気を集めるこうした名店は、完全予約制を取り入れる場所も増えており、朝時間を最高のものにしたいこだわり派の大人たちで連日賑わっている。