父親非公表という前代未聞の状況に対し、当時メディアやインターネット上では様々な憶測が飛び交いました。その中で特に有力視されたのが、彼女のキャリアに深く関わっていた2人のスケート関係者です。
ひとり目は、トリノ五輪後に師事し、彼女を世界女王へと導いたロシア人名コーチのニコライ・モロゾフ氏です。かつて師弟関係を超えた交際が報じられたこともあり、「モロゾフ氏が父親ではないか」との声が噴出しました。しかしモロゾフ氏は報道直後、海外メディアや日本のテレビ取材に対し「自分は父親ではない。彼女が出産したことすら直前まで知らなかった」と完全否定しています。
もうひとりは、ジュニア時代からの盟友であり、当時週刊誌で同棲生活がスクープされていた元フィギュアスケート選手の南里康晴氏です。結婚秒読みとまで報じられたことから「南里氏が父親で間違いない」と広く噂されました。しかし、南里氏の父親がメディアの直撃取材に対して息子の関与を明確に否定したほか、後に一部週刊誌が行った追跡報道でも父親説は否定されています。
結果として、どちらの人物も決定的な証拠はなく、現在では「フィギュア界を長年支援してきた一般の実業家や関係者ではないか」という見方が有力視されていますが、安藤さんが誰かを名指しすることはありません。真実を胸の奥に秘め続けることこそが、相手と娘双方を守るための彼女流の誠実さだったと言えます。