経済政策で確固たる成果を積み上げていた一方で、当時の内閣支持率は就任直後の約50%から数か月で10%台にまで急落しました。その最大の引き金となったのが、連日ワイドショーを賑わせた漢字読み間違い報道の真相です。
国会答弁などで「未曾有(みぞうゆう)」「踏襲(ふしゅう)」「頻雑(ひんぱん)」といった読み誤りが報じられると、テレビ各局は連日ニュース番組で漢字テスト企画を放送し、政治の本質とは無関係な人格批判へと発展しました。さらに、高級ホテルのバーに通う様子を「庶民感覚の欠如」と批判されるなど、メディアによる強烈なネガティブキャンペーンが展開されました。当時の特番インタビューや側近議員の手記では、「世界恐慌を食い止めるための徹夜の法案審議よりも、原稿の読み間違い1つが1時間特集される異様な空気感だった」と当時の異常な現場感覚が生々しく語られています。
党内からの「麻生降ろし」の激しい逆風の中、追い詰められた麻生首相は2009年7月21日に衆議院を解散。迎えた2009年衆議院解散総選挙(8月30日投開票)において、自民党は公示前の300議席から119議席へと壊滅的な大敗を喫し、麻生政権は358日でその幕を閉じることになりました。