1985年は、日本の歌謡界において空前絶後の「卒業ソング黄金期」でした。尾崎豊、菊池桃子、倉沢淳美などが同名異曲の『卒業』を競作する中、当時「東宝シンデレラ」審査員特別賞や「ミスマガジン」で注目を集めていた斉藤由貴の歌手デビュー曲として本作が企画されたという斉藤由貴 デビュー曲 エピソードは、当時の音楽業界でも大きな話題を呼びました。
作詞を担当した松本隆は、映画やグラビアで見せる斉藤由貴の「どこか影があり、知性とアンニュイさを漂わせる佇まい」に強いインスピレーションを受けたと各メディアのインタビューで語っています。従来の卒業ソングにありがちだった「みんなで涙を流して思い出を語り合う」という紋切り型の抒情詩をあえて排し、松本隆 卒業 歌詞 意味の根底にある「個の孤立と自立」をテーマに据えました。
「ああ 卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう」というフレーズに象徴されるように、主人公は集団の感傷的な熱狂から一歩身を引いています。松本隆が描いたのは、学校というモラトリアム空間の終わりではなく、「無邪気だった子ども時代への決別」と「嘘のつけない自分を受け入れる大人の孤独」でした。このシニカルでありながら透明感のある詞世界こそが、斉藤由貴 卒業 名曲の背景における最大の文学的達成といえます。