彼女の女優人生は、常に守りに回ることなく、新しい表現領域へ果敢に挑み続ける歴史だった。1978年のデビュー以来、テレビドラマや映画で頭角を現した彼女は、文芸作品のヒロインから洗練された現代女性まで、幅広い役柄を自らのものにしてきた。
特筆すべきは、演じる役柄ごとに見せる表情の幅深さだ。映画『明日への記憶』で見せた、病に侵される夫を健気に支える妻の深遠な愛の演技や、『阿弥陀堂だより』における美しい自然と響き合う静謐な佇まいは、観客の心に静かな、しかし確固たる感動を刻みつけた。彼女の演技には、感情を力任せにぶつけるのではない、行間から滲み出る余白の豊かさがある。