公安9課のメンバーは、そのほとんどが孤独だ。過去を捨て、義体に魂(ゴースト)を宿し、戦いの中に身を置く。その中で唯一、トグサだけが「妻と娘を持つマイホームパパ」という日常を抱えている。事件捜査の合間に見せる、家庭人としての表情。これが彼の最大の強みだ。
ネットの海に溶けてしまいそうな自己のアイデンティティを、彼は「守るべき家族」というアンカー(錨)で現実の世界に繋ぎ止めている。どれほど凶悪な電脳犯罪に直面しても、彼が人間としての倫理を失わないのは、帰る場所があるからだ。私たちがSNSの承認欲求や仮想空間の狂騒に迷いそうになるとき、トグサの地に足のついた生活感は、何よりも眩しく映る。