不織布マスクが高いウイルス捕集効率を誇る最大の理由は、単なる繊維の隙間の細かさだけではない。中間層に配置されているメルトブロー不織布(静電フィルター)が帯電しており、目に見えない微細なウイルスや飛沫を静電気の力で強力に引き寄せて吸着しているからだ。
しかし、ここに不織布マスクへのアルコール消毒を行うと深刻な事態が発生する。高濃度エタノールや水分がフィルターに浸透した瞬間、繊維が帯びていた静電気が中和され、電荷が失われてしまうのだ。この静電フィルター性能低下こそが、マスクの防御力を奪う決定的な原因である。
電荷を失った不織布マスクは、微粒子を吸着する能力を失い、単なる「目の粗い網」に成り下がってしまう。実験データにおいても、エタノール噴霧後に乾燥させた不織布マスクは、初期状態では99%以上あった微粒子捕集効率が30%〜50%前後にまで激減することが確認されている。見た目には何の変化もなくても、ウイルスに対する防御壁としてはほぼ機能しなくなっているのが実態だ。