名店と呼ばれるビストロが提供するムール貝のバケツ蒸しには、素材と火入れに対する妥協のないこだわりが詰まっています。味の決め手となるのは、香味野菜のベースと新鮮な貝から出る濃厚なエキスです。
香味の土台となるのは、たっぷりのセロリ、エシャロット、パセリ、そして良質な発酵バター。ここに新鮮な活ムール貝を投入し、辛口の白ワインで一気に強火で蒸し上げます。貝が開くと同時に溶け出したグルタミン酸やコハク酸がバターや野菜の風味と一体化し、鍋底には黄金色に輝く極上の旨味スープが完成します。
現地流の食べ方は、最初に食べたムール貝の空殻をピンセットのように使い、次の貝の身を挟んで取り出すスタイル。さらに、添えられたフリッツ(ベルギー風ポテト)をこのスープに浸して食べるのが本場の醍醐味です。多くの店舗では、残ったスープを使った「〆のリゾット」や「生パスタ」の追加注文が可能で、この最後の一口を目当てに訪れるリピーターが後を絶ちません。