レトロなオレンジ色の車体が印象的な一畑電車の出雲大社前駅。ステンドグラスから差し込む柔らかな光を背に駅舎を一歩出ると、目の前には宇迦橋の大鳥居から大社正門へとまっすぐ伸びる神門通りが広がる。この約700メートルのメインストリートこそが、現代の参拝客を惹きつけてやまない美食の舞台だ。
通りに足を踏み入れると、まず耳に飛び込んでくるのは軽快な焼き台の音。そして視界をかすめる白い湯気。数年前までの伝統的な土産物屋が並ぶ風景から一変し、テイクアウトに対応した洗練されたスタンドや、古民家をモダンに改装したカフェが軒を連ねる。島根県出雲市が推進してきた景観整備と、民間の若い熱量が結実した景観だ。観光客は片手に竹皮包みの温もりを感じながら、次の角に何があるのかと期待に胸を膨らませて歩を進めている。