長寿化の裏で深刻化しているのが、日常生活を制限なく送れる期間を示す健康寿命と平均寿命との間に存在する「大きな溝」だ。内閣府の高齢社会白書によれば、女性の場合、平均寿命と健康寿命の差は約12年近くにも及ぶ。この期間は、認知症や慢性疾患、ロコモティブシンドロームなどにより、何らかの医療や介護ケアを必要とする可能性が高いことを意味している。
ただ長生きするだけでは、本人にとっても社会にとっても負担が増大しかねない。公衆衛生学の現場からは、「人生の最後の10年以上を不健康な状態で過ごす構造をいかに打破するか」が最重要の課題として浮き彫りになっている。