ポートレート写真の世界では、古くから「実物の生々しい魅力をそのまま写真に封じ込める難しさ」が語られてきた。かつて伝説的な写真家として数々の名作を残した篠山紀信氏は、被写体が放つ一瞬の空気感や肌の熱量をいかにレンズ越しに定着させるかに情熱を注いだ。日本写真家協会に所属するトップカメラマンたちもまた、ライティングとミリ単位の画角調整によって平面化による歪みを抑え込む技術を磨き続けている。
例えば、女優の石原さとみのように、動的なニュアンスや表情の移り変わりによって周囲を魅了するタイプは、静止画の一コマだけを無機質に切り取ると本来のポテンシャルが伝わりきらない場合がある。立体的な骨格と生きた表情筋が連動して生まれるオーラこそが美の源泉である場合、固定された2次元のフレームは時に足枷となるのだ。