色彩心理学の観点からも、この組み合わせは極めて特殊な効果をもたらすことが分かっている。赤は心拍数を上げ、交感神経を刺激してアドレナリンの分泌を促す。対して黒は、外部からの干渉を遮断し、集中の域へと引き込む力を持つ。この二つが同時に存在する空間に身を置くとき、人間は強い興奮と深い集中が同居する「ゾーン」に入りやすくなるのだ。
エンターテインメント業界やゲーミング業界がこの効果を見逃すはずはない。最先端のVRアトラクションやesportsのスタジアムデザインでは、観客を非日常へと一気に引きずり込むための仕掛けとして、計算し尽くされた照明演出が組み込まれている。ひとたびその色彩の渦に飛び込めば、日常の雑音は一瞬で消し飛び、意識は目の前の世界だけに固定される。