「補欠という名前がついているが、実際には9割以上繰り上がるのではないか」——受験生の間で語られてきたこの言説は、年度や自治体の規模によって大きく異なるのが現実だ。しかし、2026年の採用現場において、この「繰り上げ率」に確かな変化が起きている。
背景にあるのは、数年来続く民間企業の空前の売り手市場だ。かつては安定を求めて市役所を第一志望とする優秀な人材が殺到していたが、近年は初任給の大幅引き上げや柔軟なリモートワーク環境を提示する民間大手へ流れる傾向が顕著になっている。ある中核市の人事担当者は「正規の合格通知を出した対象者のうち、辞退する割合が過去最高水準に達している」と漏らす。その結果、本来であれば予備枠に過ぎなかった補欠合格者が、事実上の主力な補充源として機能し始めているのだ。
ただし、楽観は禁物だ。事務職、土木・建築職、福祉職といった職種ごとに辞退率の偏りは激しい。技術系職種では補欠全員に繰り上げ打診が行くケースがある一方で、競争率が極めて高い行政一般職では、名簿上位の数名のみで枠が埋まってしまうことも珍しくない。