漫画家・奥田亜紀子の名が広く浸透する大きなきっかけとなったのが、リイド社が運営するWebマガジン「トーチweb」での発表だった。既存のメジャー誌の型にとらわれない尖った才能を世界に送り出してきた同メディアは、彼女の表現を解き放つ格好の実験場となった。
特に印象的な作品の一つ『ぷらぷら』では、都市の片隅でどこか頼りなく生きる人々の姿が描かれる。目的地もなく「ぷらぷら」と街を彷徨うような日常の中に潜む、ふとした孤独やささやかな温もり。トーチwebという自由度の高いプラットフォームとリイド社の編集方針があったからこそ、この類稀なる感性は研ぎ澄まされたのだ。