昭和史を揺るがした帝銀事件の現場となったのは、東京都豊島区の帝国銀行椎名町支店です。閉店直後の午後3時過ぎ、腕章を巻いた中年男性が「近所で集団赤痢が発生したため、GHQの指示で予防薬を飲んでもらう」と告げて侵入しました。
男は厚生省技官の名刺を差し出し、極めて落ち着いた態度で所長以下16名の行員と家族を集めました。男自らが手本を見せて液体を飲み干したため、疑う余地もなく全員が2段階に分けて配られた液体を一気に口に含みました。
直後、現場は阿鼻叫喚の地獄絵図へと化します。喉をかきむしり、激しい苦悶の中で次々と倒れ伏す人々を尻目に、男は現金約16万円と額面1万7450円の小切手を奪って現場から逃走。結果として成人と子供を含む12名が死亡、4名が一命を取り留めるという惨劇となりました。