太平洋の荒波が打ち寄せる岩壁にぽっかりと口を開けた大洞窟「忘帰洞」。この破格のスケールを誇る天然温泉の名付け親は、紀州徳川家第15代当主の徳川頼倫公だ。大正時代、この地を訪れた殿様が「帰るのを忘れるほど心地よい」と感嘆の言葉を残したエピソードは、今も色あせない語り草になっている。
潮騒が洞窟内に響き渡り、目の前にはどこまでも続く青い水平線。まるで昔話の浦島太郎が竜宮城へ迷い込んだかのような、現実離れした世界観が広がる。硫黄香る白濁の湯は身体の芯から温めてくれ、移動の疲れを一瞬で吹き飛ばしてくれるはずだ。