彼の歩みを語る上で避けて通れないのが、1990年代半ばに襲った「心因性発声障害」との壮絶な闘いである。トップアーティストとして駆け抜けていた矢先、突然自分の意思通りに声が出なくなるという悪夢。病院を梯子し、あらゆる治療法を試しても好転しない現実に、一時は自ら命を絶つことすら頭をよぎったという。
音楽から完全に離れ、自分自身と向き合う長い旅が始まった。声を失ったことで、それまで当たり前だと思っていた「歌うこと」「生きること」の本質を問い直し続けた。そして、諦めずに喉の筋トレや発声法の再構築を重ねた末、2009年に奇跡的に歌声を取り戻す。この途方もない再生のドラマこそが、彼のボーカルに他者には真似できない「魂の震え」をもたらしている理由だ。