和三盆の唯一無二の味わいを支えているのが、主原料となる在来種サトウキビ「竹糖(ちくとう)」です。沖縄などで栽培されている一般的な大柄のサトウキビ(農林8号など)と比べ、竹糖は背丈が低く茎も細いため、収穫量が極めて少ないという特徴を持ちます。しかし、繊維が柔らかく絞り出される糖汁はきめ細やかで、独特の爽やかな甘みと豊かな風味を蓄えています。
この竹糖のポテンシャルを極限まで引き出すのが、江戸時代から続く「研ぎ(とぎ)」と呼ばれる伝統製法です。搾り取った糖汁を煮詰めて固めた「白下糖(しろしたとう)」を盆の上にあけ、適量の水を加えながら職人が素手で丹念に揉み込んでいきます。この作業によって結晶の角が取れ、糖蜜が均一に分離していきます。
「研ぎ」と、麻布で包んで圧搾機にかけ蜜を押し出す「押し出し」の工程を何度も繰り返す経緯を経て、褐色だった砂糖は徐々に淡い白茶色へと変化します。「盆の上で砂糖を三度研ぐ」ことから「和三盆」の名がついたとも伝えられており、職人の指先の感覚だけで温度や水分量を調整する過酷な手作業こそが、和三盆の極上な口どけへの高い評判を支える源泉です。