なぜ遺伝情報は親を素通りし、孫の代で花開くのか。その基本は、高校の生物で習うメンデルの法則における「潜性(劣性)遺伝」にある。親の世代では優性遺伝子の影に隠れて発現しなかった形質が、交配の組み合わせによって孫の代でペアとなり、表舞台に出てくる。これが最もシンプルな説明だ。
しかし、話はそう単純ではない。最新の研究では、DNAの塩基配列そのものは変化せず、その働き方だけが変化する「エピジェネティクス」の関与が重視されている。DNAに付着するメチル基などの化学物質が、特定の遺伝子を「休眠状態」にする。そのロックが、孫の代になって何らかの環境トリガーによって解除される。この動的なオン・オフ機能こそが、世代をまたぐジャンプの正体なのだ。