紀北燈籠祭が唯一無二と呼ばれる理由は、海上に浮かぶ高さ約10メートル、重さ数トンにも及ぶ巨大燈籠と、フィナーレを飾る特大仕掛け花火「彩雲孔雀(さいうんくじゃく)」の競演にあります。
毎年異なるテーマで制作される巨大燈籠は、地元の若手有志で構成される燈籠祭実行委員会が、約半年もの歳月をかけて手作業で組み上げます。骨組みとなる木材や鉄骨の溶接から、数万枚の和紙の貼り込み、立体的な彩色に至るまで、すべて町民の手作業によるものです。実行委員のメンバーが「自分たちの手で町に奇跡を起こす」と語るように、注ぎ込まれる情熱の総量が造形の迫力にそのまま宿っています。
そして祭りのクライマックスに炸裂するのが名物花火「彩雲孔雀」です。港湾の海面すれすれで半円状に扇を開く「水中孔雀花火」と、上空数百メートルへ打ち上がる大輪のワイドスターマインが完全にシンクロ。孔雀が海上で大きく極彩色の羽を広げたかのような光景が広がり、水面に反射した光と夜空の光が融合して、港全体が極彩色の光の檻に包まれます。視界全体が光で埋め尽くされるこの瞬間は、一度体験すると生涯忘れられない感動を刻み込みます。