住環境としての機能性はどうなのだろうか。土という素材は、実は驚異的な調湿性能と蓄熱性能を秘めている。夏は外の熱気を遮り、夜間蓄えた冷気を維持する。冬は一度温まると冷めにくい。エアコンだけに頼らない自然派の暮らしを望む施主にとって、この室内環境はまさに理想的だった。
もちろん、無傷というわけにはいかない。強い横殴りの雨が当たる箇所には軽微な補修が必要になるし、定期的な点検も欠かせない。だが、施主にとってそれは「手間」ではなく「愛着」の延長線上にある。工場で作られた工業製品を買うのではなく、生きている家と共に暮らす。その哲学が今も住まいを支えている。