スマイリーキクチを襲った悲劇の発端は、1999年のことでした。インターネット黎明期に誕生した巨大掲示板「2ちゃんねる」などに、突如として「スマイリーキクチは女子高生コンクリート詰め殺人事件の主犯グループの1人だ」という完全な虚偽の書き込みが投下されたのです。
1988年から1989年にかけて足立区で発生した同事件は、日本犯罪史上でも類を見ない凶悪事件として社会に大きな衝撃を与えました。デマの発信者たちは、「犯人グループの出身地が足立区であること」「犯人たちとスマイリーキクチの年齢が近いこと(実際には学年も犯行当時の年齢も異なる)」という希薄な共通点だけを根拠に、彼を犯人に仕立て上げました。
噂は瞬く間にネット空間に定着し、個人ブログや掲示板で「殺人犯がテレビに出ている」「絶対に許すな」と拡散。所属事務所には抗議や脅迫の電話が殺到し、出演予定だった番組を降板させられるなど、芸人としての仕事にも甚大な被害が及びました。無実をいくら主張しても「嘘をつくな」「過去を隠蔽している」と嘲笑され、街中を歩くだけで命の危険を感じるほどの恐怖に怯える日々が10年近く続くことになります。