2010年1月初場所中、日本中に激震が走りました。泥酔した朝青龍が知人男性に対して暴行に及んだとされるトラブルが報じられ、連日メディアで過熱取材が繰り広げられたのです。当時、日本相撲協会からの厳しい処分や世論の逆風が強まる中、朝青龍は初場所で25回目の幕内最高優勝を果たした直後、突如として現役引退を表明しました。
本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ。名門・高砂部屋の看板を背負い、土俵を牽引してきた大横綱の幕引きとしてはあまりに突然でした。引退会見で涙を浮かべながら「横綱としての責任」を口にした姿は、多くのファンの胸に焼き付いています。
真相の背景には、相撲協会のコンプライアンス強化の波と、土俵内外で摩擦を生みやすかった横綱の奔放なキャラクターに対する厳しい視線がありました。引退勧告の処分が下される前に自ら身を引いた決断は、自らの美学と横綱のプライドを貫いた引き際であったとも語り継がれています。