大勢の観光客で賑わう大通りを一本外れ、静かな路地に佇む。手元には出来立ての龍鬚糖がひとつ。熱々の焼き小籠包や大きな台湾唐揚げを頬張ったあと、口直しにこの繊細な一粒を運ぶ瞬間は、まさに『孤独のグルメ』の主人公が思わず心の中で唸るような、至福のコントラストだ。
こってりとした脂の旨味で満たされた舌に、冷涼感すら覚える軽やかな甘みが染み渡る。ガツンと胃袋を満たす食べ歩きグルメが主流だったこの街で、龍鬚糖のような「引き算の美学」を持つ繊細な菓子が支持されている事実は興味深い。豪快な中華料理のフィナーレを飾る、静謐なデザート。この緩急こそが、街市を食べ歩く醍醐味を一段深いものへと押し上げている。