言葉のルーツを探るべく国文学の視点から過去の文献を紐解くと、「器量」とは元来、人物の才能や役目を果たすための器の大きさを指していたことがわかる。仏教用語や中世の古典において、人物の器量とはまさに「どれほどの重責に耐えうるか」という資質そのものだった。時代が下るにつれて、江戸期の市井文化の広がりとともに、顔立ちの美しさや器量好(きりょうよし)といった外見的評価を示す意味合いが強まっていったという説が有力だ。
言葉の現代的な受容について文化庁が定期的におこなう国語に関する世論調査の傾向を見ても、世代間でのニュアンスの解釈には微妙なズレが存在する。若年層ほど「顔立ちが綺麗」「スタイルが良い」といった容姿の文脈で捉える割合が高い一方で、年齢層が上がるにつれて「人間としての深み」や「度量の広さ」を想起する人が増える。一つの単語の中に、外見的な華やかさと内面的な精神性の両面が同居している点こそ、この言葉の持つ独特の魅力を形作っている。