Q1:室温20℃の部屋に置かれたフッ化水素は気体ですか、液体ですか?
A1:沸点が約19.5℃であるため、20℃の平衡状態では「気体」として振る舞います。ただし、室温がわずかに低下して19℃になると「液体」へと凝縮します。密閉容器内では気液平衡状態となり、極めて高い気化圧(蒸気圧)を持つため、容器を開封した瞬間に激しく揮発して刺激性の白煙を放ちます。
Q2:半導体工場では、気体と液体のどちらのフッ化水素が使われていますか?
A2:両方が異なる工程で使い分けられています。ウエハ表面の酸化膜全面除去や精密洗浄には水溶液である「超高純度フッ酸(液体)」が使われ、最先端の微細配線形成や微細な立体構造(3D NANDや2nm世代のGAA構造)内部のエッチングには「無水フッ化水素ガス(気体)」を用いたドライエッチング技術が採用されています。
Q3:なぜフッ酸はガラス瓶で保存してはいけないのですか?
A3:フッ化水素およびフッ酸は、ガラスの主成分である二酸化ケイ素(SiO2)と特異的に化学反応を起こし、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)や気体の四フッ化ケイ素(SiF4)となってガラスを溶かしてしまうためです。容器壁面が侵食されて穴が開き、内容物が漏洩する危険があるため、必ずテフロン(PTFE)やポリエチレンなどのフッ素樹脂製・プラスチック製容器に保存します。
Q4:フッ化水素が皮膚に付着した疑いがある場合、現場での応急処置はどうすればよいですか?
A4:直ちに汚染された衣服を脱ぎ捨て、大量の流水で最低15分以上患部を徹底的に洗浄してください。その後、速やかにフッ素イオン捕捉剤である「グルコン酸カルシウム軟膏(2.5%)」を患部にすり込みながら直ちに医療機関へ搬送します。接触直後は痛みがなくても深部組織や骨が侵食され、心停止を引き起こすリスクがあるため、一切の放置は厳禁です。