外食業界において、日高屋のポジショニングは極めて異彩を放っています。多くのファミリーレストランや低価格チェーンが郊外の幹線道路沿いへ進出するなか、ハイデイ日高の出店戦略は一貫して「首都圏の駅前1等立地・路面店」にこだわり続けてきました。
創業者の神田正最高顧問が数々の経済メディアや自著で明かしている通り、同社の出店基準は極めてシビアです。「大手ハンバーガーチェーンや有名牛丼チェーンの隣、あるいは乗降客数の多い改札口から徒歩1〜2分の導線上」を徹底して選び抜きます。競合が巨額のマーケティング費用を投じて調査した超一等地にあえて隣接出店することで、集客リスクを最小限に抑えつつ、昼夜を問わない回転率を実現するロジックです。
また、ネット上や関西在住のファンから頻繁に上がる「なぜ日高屋は関西に進出しないのか?」という疑問の背景にも、極めて合理的な経営判断が存在します。
最大の要因は、埼玉県行田市などに構える巨大セントラルキッチンからの配送限界距離にあります。食材の鮮度を保ちながら毎日各店へ定時配送を行うため、工場からトラックで数時間以内に到達できる関東圏に店舗網を限定。物流コストを極限まで削ることで、中華そば390円(税込)をはじめとする驚異的なコストパフォーマンスを成立させているのです。無理な全国展開を選ばず、密度を高める「ドミナント戦略」を貫く姿勢こそが、同社の高収益構造を支える屋台骨となっています。
なお、時折話題となる日高屋の閉店情報の理由についても、経営不振による撤退というよりは、駅周辺の再開発計画や老朽化に伴うビル建て替え、あるいはより視認性の高い駅前区画への移転(スクラップ&ビルド)が主因であることが取材データから判明しています。