ニラ特有の強い香りの源であり、強力な抗菌・疲労回復作用を持つ「アリシン」。しかし、この成分はニラの細胞内にそのまま存在するわけではない。葉の細胞が破壊されたときに、酵素のアリイナーゼと前駆体が反応して初めて生み出されるのだ。
ここで重要になるのが「切り方」と「放置時間」である。細かく刻めば刻むほど細胞が破壊され、アリシンの生成量は爆発的に増える。みじん切りや小口切りにした後、すぐに熱を加えず、室温で10分ほど空気に触れさせて放置する。このわずかな時間が、アリシンを極限まで活性化させる鍵となる。
ただし、アリシンは熱に弱いのが弱点だ。長時間炒めたり煮込んだりすると酵素が失活し、せっかく生み出された成分が揮発してしまう。加熱は料理の最後、仕上げの数秒間にとどめるのがプロの鉄則。火を止める直前にサッと和える程度の加熱にとどめることで、熱による栄養損失を劇的に減少させることができる。