『ファイト!』が半世紀近くにわたり色褪せない要因の1つに、卓越した表現者たちによる命がけのカバーが存在します。
2006年にカバーを発表した吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)は、ロックボーカリストとしての強烈なダイナミズムを注ぎ込みました。男の脆さと無骨な叫びを前面に押し出したアレンジは、中島みゆきの紡いだ言葉の強度を再証明することとなりました。
さらに2012年、大塚製薬『カロリーメイト』のテレビCMで満島ひかりが披露したアカペラ歌唱は、列島に鮮烈な衝撃を与えました。冬の廃校で、受験生たちを前にマイク1本で涙を浮かべながら絶唱する姿は、楽曲が持つ根源的なエネルギーをストレートに可視化。広告賞を総なめにしただけでなく、原曲を知らない10代・20代の若者たちを『ファイト!』の世界へと引き戻す歴史的契機となりました。
その他にもBank Band(櫻井和寿)、竹原ピストル、工藤静香など、ジャンルや世代を超えた表現者たちがこの歌に挑み続けています。表現者たちが自らの生き様を投影せずにはいられないほど、『ファイト!』という器は深く、巨大です。