SNSや気象コミュニティの投稿を検証すると、「温帯低気圧になったと聞いて物干し竿を戻したら、夜間に屋根板が吹き飛んだ」「雨風が弱まるどころか、中心から300kmも離れた地域でトラックが横転した」といった切実な被害報告が毎年後を絶ちません。なぜ中心から離れた場所で突如として牙を剥くのでしょうか。
その元凶は暴風域の範囲拡大メカニズムにあります。台風の時代は、中心の極めて狭いエリア(目を取り囲むアイウォール)に猛烈な風が集中しています。ところが温帯低気圧に変化すると、渦のバランスが横に崩れ、蓄えられていた運動エネルギーが数倍から十数倍の広大な面積へと一気に拡散します。その結果、「中心気圧は上がったのに、風が吹く面積が爆発的に広がる」という現象が起き、台風の進路から大きく外れていた地域まで猛烈な南風や寒冷前線通過時の突風に襲われるのです。