2000年5月、出雲大社境内(八足門前)の発掘調査において、日本考古学史を塗り替える決定的な遺構が出土しました。地中深くから姿を現したのは、直径約1.4mの巨大なスギの大木を3本束ね、直径3mを超える1本の巨大柱に仕立てた「宇豆柱(うづばしら)」の根元部分でした。
発掘された柱材は、地下水によって空気が遮断されていたため腐食を免れ、鎌倉時代の木肌の生々しさを残したまま姿を現しました。奈良文化財研究所などの年輪年代測定法および放射性炭素年代測定により、この柱は1248年(宝治2年)に造営された鎌倉時代初頭の本殿遺構であることが科学的に確定しています。
この発見が考古学界に与えた衝撃は計り知れません。なぜなら、それまで江戸時代初期の出雲大社宮司家に伝来していた古図面『金輪御造営差図(かなわのごぞうえいさず)』に描かれていた「柱を3本束ねて1本の巨柱とする」という奇抜な構造図が、架空の産物ではなく完全な実測設計図であったことが証明されたからです。