Saoriは本名である「藤崎彩織」の名義で作家としても輝かしい実績を残しています。5歳からクラシックピアノの英才教育を受け、洗足学園音楽大学ピアノコースを卒業、音楽科の教員免許も保持する本格派の音楽家であった彼女ですが、その表現欲求は活字の世界でも爆発しました。
2017年10月に上梓したデビュー小説『ふたご』は、文壇に凄まじい衝撃を与えました。Fukaseを彷彿とさせる型破りな青年「月島」と、彼に翻弄されながら自らの居場所を探す少女「夏子」の葛藤を描いた本作は、第158回直木三十五賞の候補作に選出。タレント本という色眼鏡を完全に払拭し、情景描写の緻密さと心理描写の生々しさが高く評価されました。
執筆を強く後押ししたのは他ならぬFukase自身であり、「彩織ちゃんは絶対に書くべきだ」と背中を押し続けたと手記で語られています。その後もエッセイ集『読書間奏文』や『ねじねじ録』を発表し、等身大の母親としての焦燥や、クリエイターとしての苦悩を鋭利な筆致で描き続けています。