佐藤蛾次郎さんの代名詞といえば、映画『男はつらいよ』シリーズの柴又題経寺の寺男・源公役です。第1作(1969年)から第49作までほぼ皆勤賞で出演し、柴又の街に欠かせないマスコット的な存在として親しまれました。シリーズ50作目となる『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年)でも過去のアーカイブ映像とともにその姿が登場し、往年のファンを歓喜させました。
主演の渥美清さんとは、テレビ版『男はつらいよ』からの付き合いであり、実の兄貴分・師匠として生涯にわたり敬愛し続けました。現場で緊張する蛾次郎さんを渥美さんがさりげなくフォローし、プライベートでも食事を共にするなど、二人の信頼関係はスクリーンを超えた本物でした。
山田洋次監督は蛾次郎さんの持つ「どこか放っておけない愛嬌」と「下町情緒あふれる泥臭さ」を高く評価し、源公というキャラクターの出番を映画シリーズを通じて広げていきました。寅さんと源公のテンポの良い掛け合いは、日本映画史に残る珠玉のコンビ芸として語り継がれています。