麻生氏がここまでクラシカルな装いに強いこだわりを持つ背景には、母方の祖父である元内閣総理大臣・吉田茂氏の存在があります。
吉田茂氏は、ロンドンで外交官を務めていた経験から英国紳士のスタイルに精通し、サヴィル・ロウ仕立てのスーツや白洲次郎氏らとの交流を通じて、戦後日本の外交舞台で堂々たるダンディズムを体現した人物です。幼少期からその姿を間近で見て育った麻生氏にとって、仕立ての良い服をピシッと着こなすことは、特別なことではなく身につけるべき最低限の嗜みでした。
また、麻生氏はかつて「国際会議の場では、貧相な格好をして国を代表するわけにはいかない」という趣旨の発言を残しています。服は単なる防寒具や自己顕示の道具ではなく、国家の威厳を背負い、対等に渡り合うための戦闘服であるという強い信念が、あの凛としたコート姿の根底に流れています。