1990年代の中日黄金期を語る上で、左の二枚看板の存在を外すことはできない。制球力と巧みな組み立てで打者を打ち取る山本昌と、圧倒的な奪三振力で敵をねじ伏せる今中慎二。タイプは対照的でありながら、二人は互いを強く意識し、その存在によって高め合っていた。
その二人の意地と誇りが最高潮に達したのが、日本プロ野球史に今も語り継がれる「1994年10.8決戦」だ。同率首位で迎えたシーズン最終戦、巨人との直接対決。超満員の球場で繰り広げられた死闘の裏で、投手陣はいかなるプレッシャーと戦っていたのか。肩の疲労が限界に達していたマウンドで、エースとして腕を振り続けた記憶は、プロ野球界の語り草として風化することはない。