英語で「Bucket List(バケットリスト)」と呼ばれるこのリストは、首を吊る際に踏み台のバケツを蹴飛ばす(Kick the bucket=死ぬの俗語)という英語の慣用句に由来します。2007年に公開されたジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演の映画『最高の人生の見つけ方』において、余命宣告を受けた2人の男性が病室で書き出したリストを実行していく姿が世界中で感動を呼び、日本でも一気に認知が広がりました。
また、作家のロバート・ハリス氏が自著『人生の100のリスト』の中で、20代の頃に作成したリストを指針に世界中を旅し、夢を次々と叶えていった手記を公開したことも、多くのクリエイターやビジネスパーソンに決定的な影響を与えています。「棺桶リスト」や「ウィッシュリスト100」とも呼ばれ、近年ではブログやnote、SNS等で自らのリストを公開・更新するカルチャーが完全に定着しました。
心理学的な観点から見ると、人間は「終わり(死や期限)」を強く意識した瞬間に、物事の優先順位を再構築する性質を持っています。これは「心理的リアクタンス」や「時間的展望」と呼ばれる認知構造で、漠然とした日常の中にいるときには見落としがちな「自分にとって本当に価値のある体験」を浮き彫りにします。頭の中だけで渦巻く未整理の欲望を文字として外部化(アウトプット)することで、脳のワーキングメモリが解放され、目的意識を持った行動選択が無意識レベルで促進されるのです。