フランス古典菓子から家庭料理に至るまで、洋菓子の骨格を形成するのは常に「小麦粉」「卵」「砂糖」「油脂」の4要素です。このうち油脂(バターやサラダ油)を削ぎ落としたとしても、残る3つの素材が持つ物理的特性を正しく作用させれば、骨格のしっかりとした美味しいお菓子が成立します。
多くの人が「バターを入れないとお菓子にならない」と思い込んでしまう背景には、油脂が持つショートニング性(生地をもろくサクサクにする性質)や保水への依存があります。しかし、卵白に含まれるタンパク質(オボアルブミン等)の起泡性と、砂糖が持つ強力な親水性・保水性、そして小麦粉のデンプンが熱で糊化(アルファ化)して形成する網目構造が組み合わさることで、油分ゼロでもふんわり・もっちりとした弾力が生まれます。
基本となる小麦粉・卵・砂糖の黄金比率は、目指す食感によって大きく2つの系統に分かれます。生地をふわふわに膨らませたいスポンジケーキや蒸しパンの場合は「粉:卵:砂糖=1:1:1(重量比)」、サクサク・ホロホロとした噛み応えを出したい焼き菓子やスコーンの場合は「粉:卵:砂糖=2:1:0.8〜1」が基準値です。このシンプルな比率さえ覚えておけば、計量スプーンやキッチンスケールひとつで迷わず調理を開始できます。