ダイヤモンドダストは、ただ寒い地域へ行けば見られるというものではありません。気象物理学的に極めてデリケートなバランスの上に成り立っており、以下のダイヤモンドダスト発生条件が完全に一致したときにのみ発生します。
1. 気温:氷点下15度(できれば氷点下20度以下)の極寒
空気中の水蒸気は、氷点下0度〜マイナス10度程度では「過冷却」と呼ばれる液体の状態を維持することが多く、自発的に凍結しません。純粋な水蒸気が一斉に美しい六角結晶へと相転移するには、マイナス15度を下回る過酷な低温が絶対条件となります。
2. 放射冷却現象:雲ひとつない快晴の夜から未明
地表から熱が宇宙空間へと逃げていく放射冷却現象が強く働く夜間、地表付近の大気は急速に冷やされます。上空に薄雲が一枚あるだけでも熱が遮断されて気温が下がりきらないため、前夜からの完全な快晴が必須です。
3. 風速:1m/s未満の無風・静穏状態
風が吹くと、地表付近の冷気と上空の比較的暖かい空気が撹拌(かくはん)されてしまい、冷却層が壊れてしまいます。また、浮遊する氷晶が吹き飛ばされてしまうため、息の音が聞こえるほどの完全な無風状態が必要です。
4. 湿度と光源:十分な水蒸気と低い角度からの太陽光
川や湖、湿原などが近くにあり、適度な湿度(水蒸気)が供給されている地形が有利です。さらに、舞い散る氷晶を輝かせるためには、日の出直後から午前9時頃までの低い角度からの直射日光が不可欠となります。