なぜ私たちの体は、わずか一晩で目に見えてパンパンに腫れ上がってしまうのでしょうか。その裏には、生命維持に欠かせない「ナトリウムとカリウムのバランス(浸透圧の恒常性)」が深く関わっています。
厚生労働省が定める食事摂取基準において、成人の1日あたりの食塩摂取目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満と設定されています。しかし、国民健康・栄養調査の追跡データを参照すると、現代の日本人の平均食塩摂取量は依然として1日あたり約9.5g〜10g前後で推移しており、日常的に大幅な過剰状態が続いています。ラーメン1杯のスープを飲み干すだけで約5〜6g、コンビニの幕の内弁当や外食の定食でも1食で3〜4g以上の食塩が含まれているのが現実です。
塩分(ナトリウム)を過剰に摂取すると、血液中の塩分濃度が急激に上昇します。体はこの濃度を一定(約0.9%)に保とうとする防衛反応を働かせ、脳の下垂体から抗利尿ホルモン(バソプレシン)を分泌させて尿の排泄を抑え、細胞外液に水分を大量に引き込みます。この血管やリンパ管から漏れ出して細胞のすき間に溜まった余分な水分こそが、むくみの原因と塩分過多の真相です。
さらに、重力の影響も無視できません。日中の立ち仕事や座りっぱなしのデスクワークでは、下半身の静脈血を心臓へ押し戻す「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋ポンプ作用が低下します。これにより夕方に足のむくみがピークを迎えます。逆に夜間横になって睡眠をとると、全身に水分が均等に再分配されるため、起床時には皮膚が薄く組織の緩やかな「まぶた」や「頬」に水分が集まり、朝の顔のむくみとして現れます。