インターネット上で「放し飼いの野生クジラがいる海に人が飛び込んでいるのか」といった憶測が散見されますが、これは明確な誤解です。登場するのは、海水浴場に隣接する「太地町立くじらの博物館」で飼育されているハナゴンドウ(小型のハクジラ類、体長約2.5m~3m)です。
期間中、博物館の飼育プールや生簀から湾内へとハナゴンドウが生簀ネット越しに連れ出され、海水浴場内に設置された特設仕切りネットの内側(クジラエリア)に放たれます。さらに、決まった時間になるとトレーナーの誘導により、海水浴客が泳ぐ浅瀬のすぐ手前までカヤックで誘導されてやってくるシステムです。
「体が大きいクジラに子どもが衝突されてケガをしないのか」という安全面の懸念に対し、現場では幾重もの安全プロトコルが講じられています。
- 熟練トレーナーによるコントロール:給餌バケツを持った飼育員がシーカヤックから常に個体の動向と海面状況を注視し、指示を出しています。
- 温厚な個体の選定:長年にわたって人に慣れ、穏やかな性格が確認されているハナゴンドウが抜擢されています。
- 自然な距離感の確保:人間側から無理に抱きついたり追いかけたりする行為は監視員によって厳しく制止されます。あくまで「クジラの自発的な好奇心」に任せたアプローチが行われます。
現地で実際に目撃すると、ハナゴンドウは頭部を丸く出しながら、海中で人間を観察するかのように優雅に旋回します。海の生き物と人間が対等な目線で海水を分かち合う感覚は、人工的なアクリルガラス越しの水族館では絶対に味わえない唯一無二の感動をもたらします。