結論から明確に述べると、母子手帳返却の義務を定めた法律は存在しません。母子保健法第15条に基づき市町村から交付された母子健康手帳は、受給者本人の所有物として扱われます。流産や死産を経験された後に役所へ手帳を返す法的な責務はなく、手元にそのまま保管し続けて何ら問題ありません。
一方で、多くの人が混乱するのが妊婦健診受診票の返還に関するルールです。母子健康手帳と一緒に交付される「妊婦健康診査受診票(補助券)」は自治体の公費助成チケットであるため、原則として流産確定後の使用はできません。しかし、その妊婦健康診査補助券の返却方法については自治体ごとに対応が分かれています。
- 破棄を推奨する自治体:「残りの受診票はご自身で破棄してください」とし、返納を求めないケース。
- 返還を求める自治体:郵送または窓口での返却を規定しているケース。
- 母子保健相談を兼ねる自治体:保健師との面談を案内するケース(体調が優れない場合は辞退可能)。
厚生労働省の通達および各自治体の運用方針を取材すると、流産直後の当事者に無理な来庁を強いる自治体は皆無に等しい実態が浮き彫りになります。もし返却を求められた場合でも、代理人による窓口提出や郵送での返還が広く認められています。本人が精神的な負担を押して窓口へ足を運ぶ必要はありません。