米国の刑事ドラマやアクション大作において、映画や海外ドラマの頻出フレーズとして君臨してきた「mano y mano」。この表現を聞いた際、多くの人が「男(man)と男(man)のぶつかり合い」という構図を脳裏に浮かべます。しかし、語源をたどる上でまず押さえるべきは、mano y mano意味における根本的な言語のズレです。
そもそも「mano」は英語ではなくスペイン語の名詞であり、その意味は「男」ではなく「手(hand)」を指します。スペイン語で「男性・男」を意味する単語は「hombre(オンブレ)」です。さらに、スペイン語の接続詞「y」は英語の「and」に相当するため、文字通りに解釈するとスペイン語の手と手の直訳どころか「手そして手」という文法的に破綻した奇妙なフレーズになってしまいます。
ではなぜ、このような表現がハリウッド映画を中心に定着してしまったのでしょうか。その背景には、英語ネイティブによる「音の連想」があります。英語の「man」とスペイン語の「mano」の響きが極めて似ていたこと、そして「サシで戦う男たち」というマッチョな映像表現が結びついた結果、mano y mano誤用の理由となる「民間語源(folk etymology)による誤認」が英語圏の大衆文化全体に爆発的に広がったのです。