弥海砂という特異なキャラクターが平成から令和に至るまで愛され続ける背景には、実写版・アニメ版双方で命を吹き込んだキャスト陣の卓越したアプローチが存在します。
実写映画版でスクリーンデビューを飾り、一躍トップ女優へと駆け上がった戸田恵梨香さんは、当時のインタビューや後の回顧録において、海砂という役柄への葛藤と没入を明かしています。単なる狂気的な犯罪者ではなく、「あまりにも純粋であるがゆえに善悪の境界線を失ってしまった少女」として海砂を捉え、撮影現場では夜神月役の藤原竜也さんに対して本物の盲目的思慕を抱くレベルまで精神を追い込んだと語られています。2016年の続編映画への出演時にも、10年間背負い続けた海砂の哀しみを体現し、多くの観客の涙を誘いました。
一方、テレビアニメ版で声優を務めた平野綾さんの演技も見事でした。アイドル「ミサミサ」としての甘く甲高いパブリックイメージと、第2のキラとして冷酷に他者を粛清する際の底冷えする声音のギャップは圧巻でした。平野さんは特番やインタビューで「ミサの原動力は悪意ではなく、100パーセントの無垢な愛。だからこそ演じていて最も恐ろしく、最も切ない女性だった」と振り返っています。