ステンレスに磁石がくっつくのは偽物?理由と見分け方の真相を徹底解説の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。
同じ「ステンレス鋼」でありながら、磁石につくものとつかないものが存在する根本的な理由は、金属内部の原子の並び方(結晶構造)とニッケル(Ni)の含有有無にあります。
ステンレスは主成分である鉄(Fe)にクロム(Cr)を10.5%以上混ぜて錆びにくくした合金ですが、添加する元素によって結晶の構造が変化します。
鋼種分類代表的な規格・主成分結晶構造と磁性の反応主な用途・編集部の見解オーステナイト系SUS304(18Cr-8Ni)
SUS316(耐食強化)面心立方格子(FCC)
基本的に非磁性(磁石がつかない)高級キッチン、配管、化学プラント。
耐食性と加工性のバランスが最高峰。フェライト系SUS430(18Cr-0Ni)
SUS409, SUS444体心立方格子(BCC)
強磁性(磁石が強力にくっつく)家電製品、IH対応鍋の底面、厨房機器外装。
ニッケル不使用でコストパフォーマンス良好。マルテンサイト系SUS410, SUS420J2
(高炭素・クロム系)体心正方格子(BCT)
強磁性(磁石が強力にくっつく)包丁、ハサミ、医療用メス、機械部品。
焼入れによって極めて高い硬度を発揮。析出硬化系SUS630(17-4PH)マルテンサイト基材
強磁性(磁石がくっつく)航空宇宙部品、発電所シャフト、高圧バルブ。
極めて高い引張強度と耐食性を両立。
鉄そのものは常温で「体心立方格子(BCC)」という磁石につきやすい構造をとっています。フェライト系の代表であるSUS430はニッケルを含まないためBCC構造のままであり、磁石が強く吸着します。一方、SUS304などのオーステナイト系は、ニッケルを約8%添加することで高温状態の「面心立方格子(FCC)」構造を常温でも維持させており、磁気を持たない性質になります。