訃報を受け取った際の基本原則は、「第一報を受けたら速やかに、文面は簡潔に」返すことです。通夜や葬儀の準備に追われるご遺族は、精神的にも肉体的にも極限状態に置かれています。長文の思い出話を綴ったり、死因を詮索したりする行為は絶対に慎まなければなりません。
言葉遣いにおいて、まず整理しておきたいのが「哀悼の意」と「お悔やみの言葉」の違いです。哀悼の意とは「故人の死を悲しみ、悼む気持ち」という心情そのものを指し、主に弔電や公式な書面、式典などの改まった場面で「哀悼の意を表します」といった形で用いられます。一方、お悔やみの言葉は、ご遺族に対して直接口頭やメッセージでかける「慰めや弔いの言葉」全般を意味します。口頭で対面した際に「哀悼の意を表します」と述べるのは不自然であり、その場では「この度は誠にご愁傷様でございます」と伝えるのが正しい作法です。
また、広く定着している「ご冥福をお祈りいたします」というフレーズには明確な宗教的背景が存在します。「冥福」とは冥府(死後の世界)での幸福を意味する仏教用語です。そのため、死後すぐに極楽往生すると考える浄土真宗をはじめ、キリスト教や神道では教義に合致せず、失礼にあたる場合があります。相手の宗派が不明な場合やビジネス関係のやり取りでは、「心よりお悔やみ申し上げます」または「哀悼の意を表します」に統一するのが安全策です。